コラム2「はじめてのNFT(中篇)」坂井豊貴

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3.企業や国家が滅んでも続く記録

 過去や現在の所有者が記録されているブロックチェーンは、そもそも誰がどうやって管理しているのでしょうか。ここで重要なのが、パブリックチェーンと、プライベートチェーンの区別です。この二つはまるで違います。
 パブリックチェーンは不特定多数による分散管理。元祖仮想通貨のビットコインや、「色んな記録帳を作れるプラットフォーム」のイーサリアムは、パブリックです。パブリックチェーンは世界中に点在する不特定多数の人々が、ある意味で共同で、分散的に管理しています。誰でも管理者になれますし、管理者の一部がいなくなっても、全体のネットワークは健全に維持されます。永続性が高いのです。
 一方、プライベートチェーンは、それを発行する特定の企業だけが管理しています。その企業が管理をやめたり、倒産すると、他者が引き継がない限り、そのチェーンは無くなってしまいます。永続性が弱いのです。そのようなチェーンに存在をゆだねるNFTは、資産としての永続性が脆弱です。
 私の感覚でいうと、ブロックチェーンの面白さは、パブリックチェーンにあります。国や企業といった特定主体ではなく、世界中の人々が巨大なネットワークで支える仕組みのほうが、頑健な記録付けであろうからです。
 個人や企業や国家には寿命があっても、人類は人類が滅びるまでは存在します。いまビットコインに関わるどの個人、どの企業、どの国家がなくなっても、ビットコインに価値を認める人々が一定数いる限り、ビットコインは続くわけです。パブリックチェーンのこの恐ろしいまでの「しぶとさ」は、あまり世に理解されていません。これはおそらく、まだビットコインやブロックチェーン技術が新しく、「しぶとさ」を感じさせるほどの歴史がないからです。
 しかし考えてほしいのですが、ビットコインは2009年1月のリリース以来、四六時中365日、基本的に一度も止まらず送金を可能にしています。皆さんがお使いの銀行のATMにそれができるでしょうか。深夜や週末や連休に、止まっているのではないでしょうか。昼夜を問わず、国家や企業の盛衰にも関係なく続く、というのはパブリックチェーンの凄みです。

EDIのコンサルテーション
現在EDIには、業務にコミットするエコノミストが7名います。実務でつくづく思うのは、大学の授業で学べることは、実に強力だということです。

例えば市場設計において、手数料を支払う人を、どの参加者にするか。

表面的にはあるユーザーに手数料を課すとしても、その手数料は値上げを通じて、別のユーザーに転嫁されるかもしれない。

これは財政学でいう「租税の転嫁と帰着」と同型の問題です。だからその問題に親しんでいると、すぐに頭の中にモデルを立てて、結果を理解できます。

直感だけでは分からないことが、論理を辿って理解できる、設計を改善できる、というのは理論の効能に他なりません。

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