新商品に適した価格調査手法「BDMオークション」に関わる特許を取得しました。

株式会社エコノミクスデザイン(本社:東京都新宿区、代表取締役兼共同創業者:今井 誠、以下EDI)は、新商品に適した価格調査手法「BDMオークション」に関わる特許を取得したことをお知らせいたします。

「BDMオークション」概要

BDMオークションは、ノーベル経済学賞を受賞したVickreyのオークション理論に基づいた、精度の高い価格調査手法です。オークション形式の調査を通じて、参加者に実際にお金を支払う決断を求めることで、仮想環境下でも正確に消費者の価格感度を測定することができます。BDMオークションは、実際の取引を含む実験的な方法で、参加者が正直に真の支払い意思額を表明するような調査デザインになっています。一般的なアンケート調査で生じる仮想バイアスや個人の戦略的な回答が起こらないような設計となっている調査手法です。

*仮想バイアス:調査対象者が実際の支払行動とは異なる回答をする傾向のこと。経済的コミットメントがない(いくらと答えても、自分の懐は痛まない)ため、高めに答えがち。
*個人の戦略的な回答:調査対象者が自分の利益を最大化するために 意図的に答えを操作すること。回答結果で上市後価格が下がることを期待して低めに回答しがち。

BDMオークションはアカデミアの世界では広く知られてきた手法でしたが、ビジネス現場での活用のハードルが高い調査手法でした。EDIは、今まで実用化の障壁となっていた点を、慶應義塾大学教授星野崇宏、一橋大学准教授加藤諒、名古屋大学専任講師篠田和彦が中心となり改良を進めることで、実用化できる調査手法へと開発いたしました。

・特許概要

BDMオークションで精度高く支払い意思額を聴取し、その結果を用いて売上予測を行えるようにするには、様々な工夫が必須です。

本特許では、BDMオークションを調査対象者に理解させる手続き、BDMオークションで支払い意思額を取得する方法、BDMオークションに用いる乱数の設定・生成方法、各種データと支払い意思額を用いた売上予測などに関する特許を取得しました。今回の特許技術は出願中の段階で企業の様々な商品価格決定に利用されております。

今後の展望

近年のコストプッシュインフレの中で、この20年以上変わらなかった価格についていよいよ我が国の企業も考える必要に迫られています。プライシングは売上と利益に直結するだけに、勘と経験で行うのは危険です。過去のデータがない新製品発売時やリポジショニング時などの価格設定では仮想バイアスや戦略的回答などによりこれまでの調査手法では正しい価格決定ができません。現在よく使われている既存のコンサルティング手法やデータサイエンスの手法ではうまく扱えない一方、学知には膨大な先行研究があるのがプライシングの領域です。

BDMオークションはノーベル経済学賞が複数与えられているオークションの経済学の知見を活用する画期的な価格調査手法です。我々はすでに実用化されている今回の特許技術にとどまらず今後とも更なる改善を進め、より様々な企業が使いやすい調査手法にすべく研究開発を行うことで、経済学のビジネス実装をより一足加速させ我が国の企業の生産性向上に寄与したいと考えております。

【株式会社エコノミクスデザイン】 https://econ.news/
株式会社エコノミクスデザイン (Economics Design Inc.)は、経済学を基盤としたビジネスコンサルティングを提供する企業です。「経済学でビジネスを科学する」をミッションに掲げ、ビジネスに有益な学知とビジネスを紐づけ、その便益を最大限享受できる仕組みを提供しています。慶應義塾大学、大阪大学、一橋大学、名古屋大学、関西学院大学、上智大学などに所属する多くの研究者が在籍し、強力な知識基盤を支えています。

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