価格の相場があるようでない商品(美術品、不動産)や、新規ゆえ相場が確立されていない商品(トレーディングカード)、価値が日々変動する商品(金融商品)は、オークションでの売買が向いています。売る側が値付けするのではなく、市場に競争価格を付けてもらうのです。一万円で売れると思うなら、一万円をスタート価格にして競り上げ競争を実施します。
ただしオークションの実施には無数のやり方があります。どれを使うかで結果は変わります。スタート価格の設定や、終わり方のルール設定といった細部の調整も重要です。設計は死活的に重要なのです。
自分で設計して、何度も試行錯誤を繰り返すと、運がよければ「車輪の再発明」ができるかもしれません。しかしそれには長い時間がかかりますし、その間の失敗には金銭的な負荷がかかります。そこで頼りになるのが、数理モデルと経済実験に基づく、オークション理論の学知です。
アメリカの周波数オークションでは、スタンフォード大学のMilgrom教授が設計を担当し、見込み額を大きく上回る収益をあげました(1994年から2013年まで約8兆円)。一方、専門家を活用しなかったニュージーランドでは、見込み額より一桁少ない収益しかあげられませんでした。
重要なのは、売買するものに応じたオーダーメイドの設計です。その結果を統計分析して、次回の設計に活かす力も要ります。オークション理論と統計学のプロからなるチームが、これら一式のパッケージを提供します。