スタートアップの経済学(加藤雅俊)

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【運営からのコメント】
AIブームなどの影響でアメリカではスタートアップが活況といわれますが、日本でも政府によるスタートアップ支援などが行われています。本講義では、スタートアップを取り巻く現状について、最新の知見も交えて学びます。

【講師紹介】
関西学院大学経済学部教授。
学位:博士(商学)(一橋大学)。
研究分野は、アントレプレナーシップ、イノベーション。 スタートアップ企業に関するデータを用いた実証的な研究に従事。
主な著作に、「スタートアップとは何か」や「スタートアップの経済学」がある。

【講師コメント】
政府は創業間もないスタートアップへの支援に力を注いでいます。なぜスタートアップに対する期待が大きいのでしょうか。スタートアップ創出の要因は何でしょうか。そもそもスタートアップを公的に支援することは本当に正しいのでしょうか。
これまでに蓄積された研究について重要なポイントを中心に概観します。また、この分野のテキストでは扱われていない最新の研究動向や政府の施策に関する解説を試みます。

【レベル】
初級

【キーワード】
スタートアップ・アントレプレナーシップ・イノベーション

【分野】
ミクロ経済学、データ分析

【この講義で目指すこと】
・スタートアップの現状を把握
・アントレプレナーシップの理解
・様々なスタートアップ支援策の活用

【お薦め】
・新しくビジネスを始めようとしている方
・スタートアップの支援に関心がある経営層の方
・最新の経済動向に関心がある方

第1回:スタートアップの『光』と『影』
スタートアップとは創業間もない企業のことを指します。スタートアップの経済学は、経験や勘、思いつきなどではなく、客観的な根拠に基づいた創業のあり方を研究しています。
スタートアップには市場の競争を活性化すること、イノベーションの担い手となること、さらには雇用の創出も期待されています。しかし、創業時には資金繰りに苦労しがちで、うまく創業しても大きく成⻑するスタートアップ企業は⼀握りです。初回講義ではこういった現実についても詳しく学びます。

第2回:スタートアップの環境・個人要因
アントレプレナーとは、新しく事業を始める人のことを指します。アントレプレナーが創業に至るまでには、それまでに得てきた知識を使うチャンスがあることを認識し、リスク・リターンを検討するプロセスがありますが、実際には非経済的動機も持っています。また、スタートアップ創業までに至るには、こういった個人要因だけではなく、国・地域・産業レベルの環境要因も存在します。
この講義では、スタートアップの個人要因と環境要因について詳しく学びます。

第3回:創業後の成功と失敗の要因
生存できずに退出(廃業)する可能性が高いスタートアップが、上手く成長する要因は存在するのでしょうか。実は、スタートアップが成長するためには「アントレプレナーの資源」「企業特性」「創業後の戦略」という、三つの要素が上手く組み合わされることが重要だと研究から分かっています。
この講義では、スタートアップを成功に導く、アントレプレナー・企業・戦略の要素それぞれについて、詳しく解説します。

第4回:スタートアップに対する公的支援
政府は令和4年を「スタートアップ創出元年」とし、「スタートアップ5ヵ年計画」を策定、その結果スタートアップの更なる創業の機運が高まっています。情報の非対称性や、資本市場の不完全性という「市場の失敗」があるため、市場任せではスタートアップは安定的に成長しにくい現状があります。だからこそ、公的な「介入」で適切な環境を整えることが重要です。
最終回は公的支援の手段や効果、そして日本で実際に行われている政策について学びます。