分断進むグローバル経済をどう読み解くか?(伊藤萬里)
分断進むグローバル経済をどう読み解くか?(伊藤萬里)
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【運営からのコメント】 1991年のソ連崩壊以降にグローバリゼーションが急速に進展し、世界の国々の経済的な結びつきが強くなり続け、大規模な戦争はもはや発生しないと主張されるようにさえなりました。しかし、こういった楽観的な予測を裏切るような出来事が近年立て続けに発生し、世界は混迷の度合を深めています。
【講師紹介】
青山学院大学経済学部教授.独立行政法人経済産業研究所リサーチアソシエイト.
2002年慶應義塾大学経済学部卒、2009年慶應義塾大学 博士(経済学).2009年専修大学経済学部講師、2011年同准教授を経て2016年青山学院大学経済学部准教授、2020年より現職.
この間、2014年ハーバード大学国際問題研究所客員研究員、2018~2020年OECDデジタル経済政策委員会 デジタル経済計測分析作業部会副議長、2020年~AIネットワーク社会推進会議AI経済検討会データ専門分科会構成員、2021年日本国際経済学会特定領域研究奨励賞(小田賞)受賞.
主な著書に『グローバルイノベーション』(共著)慶應義塾大学出版会、『現実からまなぶ国際経済学』(共著)有斐閣.
【講師コメント】
コロナ禍を経て、ウクライナ戦争、台湾有事の懸念、中東情勢の緊迫化などを受けて、世界経済は再びブロック化に向けて分断が進みつつあります。効率性を重視して構築されたグローバルサプライチェーンが国産化や友好国からの調達へと再構築が迫られる中、グローバル化をどのように考えたらよいのでしょうか。本講義では今後のグローバル化を展望しつつ、特に企業のグローバル化に係る理論と実証結果を紹介したうえで、日本経済への含意を提示します。
【レベル】
中級
【キーワード】
グローバル化・サプライチェーン・保護主義・経済安全保障
【分野】
国際経済学
【この講義で目指すこと】
・グローバリゼーションの現状の把握
・国際社会を経済の視点から読み解く力の涵養
・逆境にある海外からの調達(サプライ)の現状の理解
【お薦め】
・貿易業に従事されている方
・海外調達を行う企業の経営層
・ハイテク分野に携わる方
第1回「複層的なグローバル化の進展と今後」
現在、私たちは緩やかなグローバル化、あるいは脱グローバル化という時代に直面しています。その一方で、訪日外国人の急増や、スマホの普及と高速通信化などによって外国とのデジタル取引が拡大するなどグローバル化が一層進む分野も目にしています。初回はこうした複層的な特徴を持つグローバル化の趨勢を紹介しつつ、モノからサービスにシフトするグローバル化の今後について展望します。
第2回「企業のグローバル化と日本経済」
少子高齢化や円安が一段と進む中、市場を海外に求める姿勢はあらゆる産業で今後も重要になるでしょう。輸出や海外進出などグローバル化した企業にはどのような特徴があるのでしょうか。また、企業のグローバル化を促進することの利益はどのようなところにあるのでしょうか。実証分析で得られた知見を紹介しつつ、企業のグローバル化が再配分効果を通じて生産性と賃金の上昇をもたらすことを解説します。
第3回「揺れるグローバルサプライチェーン」
複数国にまたがった供給網、グローバルサプライチェーンは効率性の観点で我々に安価な製品へのアクセスをもたらしています。一方で海外での生産や調達の加速は従来から産業空洞化の懸念が指摘され、最近では経済安全保障や円安の影響への懸念も高まっています。こうした懸念を経済学的にはどのように考えたらよいのでしょうか。企業の調達戦略に関する理論を解説し、コスト上昇を伴うグローバルサプライチェーンの再構築について考えていきます。
第4回「グローバル化と格差・保護主義の台頭」
グローバル化はたびたび格差の要因として批判されたり、貿易を制限する保護主義的な政策が支持されたりすることが見受けられます。格差拡大や保護主義の台頭にはどのようなメカニズムが背景にあるのでしょうか。また、保護主義的な政策は経済学的にどのように評価されているのでしょうか。トランプ政権時の追加関税や、ハイテク分野の補助金政策などを事例に、理論と実証分析で得た知見を紹介します。