社会的選択理論への招待:投票と多数決の科学(坂井豊貴)

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社会的選択理論への招待:投票と多数決の科学(坂井豊貴)

【講師紹介】
慶應義塾大学経済学部 教授 。学位:Ph.D. University of Rochester。
投票システム・暗号通貨・オークション・マッチング・レーティングなどの設計を研究。現在は、さまざまな企業のサービス開発や刷新に深くコミットして、ビジネス活用に注力しています。
著書『多数決を疑う』(岩波新書、高校国語の教科書に掲載)、『マーケットデザイン』(ちくま新書)ほか。

講師コメント】
多数の人々の異なる意見をどう集約すればよいか。民主主義の歴史と同程度に古いこの問いは、フランス革命前夜のパリ王立科学アカデミーで、はじめて科学的な分析の俎上に載せられた。
議論の焦点は多数決だ。まずボルダが多数決は「票の割れ」に弱いことを端的に示し、代替案として今日ボルダルールと呼ばれるルールを考案した。
次いでコンドルセが、ルソーの一般 意志を念頭に置きつつ、多数決の確率論的な分析を行った。
こうして始まる社会的選択理論は、約150年後の20世紀半ば、ブラックの中位投票者定理とアローの不可能性定理により劇的な新展開を迎える。
この講義では選挙制度の設計と、真実の探索を念頭に置きながら、この分野の主な学知について説明する。

【キーワード】
選挙・投票

【分野】
社会的選択理論

第1回「選挙制度の設計」
多数決と聞くといかにも多数派の意志が反映されそうだが、そうとは限らない。似た候補が乱立すると、それら候補のあいだで票が割れ、多数派の支持を受けていない候補が勝つこともある。2000年の米大統領選挙では、ゴアとネーダーのあいだで票が割れ、ブッシュが「漁夫の利」で勝利した。このような例は日本でも多くある。この回は望ましい選挙制度の姿について、事例を交えつつ、説明する。

第2回「真実の探索
陪審員裁判では、被告が有罪か無罪かを決める。そこでの投票には、真実を探す発見装置の役割が期待される。被告が罪を犯していたなら有罪、そうでないなら無罪を与えるのがこの装置の目標だ。一定の条件下で、多数決はその役割を果たす。18世紀後半にコンドルセが示した陪審定理は、そのことを数理統計学の手法で示している。質の高い集団的意思決定が、いかにして可能かを私たちは問う。

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