中東湾岸産油国の経済システム:国家とイスラムの視点から(細井長)
中東湾岸産油国の経済システム:国家とイスラムの視点から(細井長)
【講師紹介】
國學院大學経済学部教授
1977年秋田県生まれ、1999年立命館大学国際関係学部中退(飛び級のため)、2001年立命館大学大学院国際関係研究科修了、2004年立命館大学大学院経営学研究科修了(博士(経営学))。2006年國學院大學経済学部専任講師、2009年同准教授、2015年同教授。
著書として『中東の経済開発戦略』(2006年、ミネルヴァ書房)、『アラブ首長国連邦(UAE)を知るための60章』(2011年、明石書店、編著者)、『中東の経済学』(2024年、カンゼン)など。
【講師コメント】
石油資源をもたない日本(経済)にとって中東は非常に重要な地域です。ところが、中東産油国における経済の仕組みについてはあまり知られていません。統計制度に難があるため、経済学が正面から扱いにくい地域であることもその一因です。オイル・マネーで「豊かな国」というイメージがありますが、どのように豊かさを享受しているのか、我々が想起する仕組みとはあまりに異なる国々の政治経済構造を説明します。また、この地域特有の「イスラム」が経済や経営にどのような影響を与えているのかを紹介します。これらを通じて、日本企業にとって今後重要な市場になる(かもしれない)中東湾岸産油国の理解を深めていきます。
【キーワード】
中東産油国市場
【分野】
中東地域研究・エネルギー論
第1回:「レンティア国家」の政治経済学
2月6日(木) 21時00分開始
中東産油国の政治経済的特徴は「レンティア国家」という概念で説明されます。多額のオイル・マネーが政府(王制国家ゆえ王族)に入り、それを国民や企業に対して「分配」することで経済が成立している姿です。これは経済だけではなく、統治の観点も含んだ社会の包括的概念です。このレンティア国家の仕組みを説明することにより、石油の富をいかに国民が享受しているのか、石油に依存した経済に死角はないのかを考えていきたいと思います。
第2回:中東ビジネスにおける国家とイスラム
2月20日(木) 21時00分開始
湾岸産油国でのビジネスの根底にあるものはレンティア国家概念で、そこでは国営企業が中心となります。ビジネスと国家が綿密に結びつくと同時に、ソブリン・ウェルス・ファンドに代表されるように国際金融市場に影響を与える存在になっています。また、中東とイスラムは切り離せない関係です。一般的に宗教は禁欲的と捉えられますが、イスラムは商売を推奨する宗教です。イスラム金融に代表されるようにイスラムとビジネスの結びつきも近年では増えてきました。中東ビジネスを考える上で重要だけれどもあまり知られていない仕組みを紹介し、その付き合い方を考えていきたいと思います。
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