ゲーム理論による市場設計(岡本実哲)

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【運営からのコメント】
インターネットの普及で、身近になったオークションやマッチング。オークションの設計次第では、買い手にも不満が残ることがあります。今回の授業では、売り手よし、買い手よし、効率よしの三方よしなオークションを設計する方法を学びます。日々新たに生まれるマッチングサービスには対策が必要な点が多く存在します。今回の講義では、そのポイントを押さえたマッチングメカニズムを複数学びます。

【講師紹介】
明治学院大学経済学部准教授。学位:慶應義塾大学 博士(経済学)。
専門は、マーケットデザイン(オークション理論、マッチング理論)、社会的選択理論。
エコノミクスデザインでは、エコノミストとして様々な案件に従事。

【講師コメント】
「ヒトとモノ」や「ヒトとヒト」をうまく組み合わせるマッチング制度のデザイン。
モノを売りたいときに、「最も高く評価する人」と「適切な価格」を発見するオークション制度のデザイン。
こういった限られた資源を有効活用するための制度設計について学びます。

【レベル】
初級〜中級

【キーワード】
管理職・中堅・起業家・新規事業・戦略

【分野】
ゲーム理論・制度設計

この講義で目指すこと】
・モノの価値・価格の付き方の理解
・オークション設計の勘所の理解
・マッチングの注意点の把握

【お薦め】
・オークションを用いた販売で悩んでいる方
・より良いマッチングビジネスを考えている方
・新規インターネットビジネスを考えている方

第1回:モノを一つ売るときのオークション
ゲーム理論を応用してオークションやマッチングなどの市場設計を行う実用的な経済学の分野が「マーケットデザイン」です。 初回講義では、マーケットデザインの初歩として、モノを一つ売るときのオークションを学びます。オークションでは参加者を上手く競わせることができれば、一番高く評価してくれる人に妥当な価格でモノを販売することができます。様々なオークションの分類を通じ、オークションの基本的な考え方を学びます。

第2回:モノを複数売るときのオークション
オークションを通じてモノを複数売るときには、同じモノを複数売るケース(例:国債)と、異なるモノを組み合わせて売るケース(例:周波数)があります。 いずれのケースでも、一般的に「1つ目はこれだけ払ってもいいが、2つ目にはこれだけしか払いたくない」と、個数が増えるほどに購入者が支払ってもいいと思う額は下がる傾向があります。こういったことを踏まえた上で、各ケースにおいて望ましいオークションの形式について解説します。

第3回:「人とモノ」のマッチング
今回の講義では「個人合理性」「パレート効率性」「強コア性」といった概念を学び、「人とモノ」の最適なマッチングについて考えます。
実例として2012年にノーベル経済学賞を受賞したシャープレーとロスのマッチング理論を紹介します。シャープレーと彼の協力者であったゲールが発案したTTCアルゴリズムは、ロスらの腎臓ドナーマッチングの理論にも応用され、適合条件が複雑な腎移植の効果的なマッチングに役立てられています。

第4回:「人と人」「人と組織」のマッチング
人からの一方的な好みを反映させるだけで「人とモノ」のマッチングは成立しますが、今回の講義で扱うマッチングでは「人と人」あるいは「人と組織」という双方の好みを上手く反映させる必要があります。 双方の好みを反映させるマッチングメカニズムで有名なボストンメカニズムには問題点がありましたが、その問題点を改善したものとしてDAアルゴリズムというメカニズムも開発されています。これらメカニズムを、男女のマッチングを例に学んでいきます。